@article{oai:shiga-u.repo.nii.ac.jp:02000200, author = {張, 璟霞 and Zhang, Jingxia}, issue = {第438号}, journal = {彦根論叢, The Hikone Ronso}, month = {Jan}, note = {ASEANは、経済成長力が高く、中国と地理的にも隣接しており、伝統、文化、価値志向などの面での相似点が大きい。また、ASEAN各国と中国では、地理的規模、人口、資源賦存の差が小さくなく、相互補完性が高いと予想される。それらの点で、両者の協力と発展は大きな可能性を持つと考えられる。  この可能性を実現する政策として、中国とASEAN間の経済協力も進展しており、2002年にはASEAN中国包括経済協力枠組協定(ACFTA)が締結されている。この協定は、物品の自由貿易にとどまらず、サービス貿易協定(2007年発効)、投資協定(2010年発効)も含むものとなっており、初期の関税引き下げをおおむね達成し、2019年には改訂議定書が発効している。2023年現在、その更なる改訂が交渉されているところである。  以上の経済的・地理的条件、また政策取り組みを反映して、ASEANと中国間の経済的相互依存関係は深化を続けてきた。UNCTAD「世界投資報告書2021」によれば、中国は世界第一位の対外直接投資国であるが、ASEANは、地域として中国の第一の直接投資先となっている(香港を除く)。  しかし、中国は移行経済国かつ発展途上国であり、ASEANもその多くが発展途上国であり、移行経済諸国をも含む地域となっている。このような中国とASEAN間の直接投資の水準は、市場経済を支える諸制度が先進諸国と比較して十分整備されていない、あるいは自由化や緩和が十分行われていないために、その潜在的可能性を下回る水準にとどまっている可能性がある。このことを踏まえれば、中国の一帯一路構想にとって重要な対象国とされるASEANへの投資が、潜在的可能性を実現できているのかを、つまり現実の水準が潜在的可能性を十分実現できていない「非効率」な状況にあるか否かを分析することは一つの課題となりうる。また、もし「非効率」であるとすれば、ASEAN諸国の市場制度の整備状況に関するどのような要因がその原因となっているのか、それらの要因の作用の在り方が、通常の理論から想定されるあり方と一致しているのか否か、を明らかにしておくことは、移行経済・発展途上国間の経済関係の在り方の特徴を明らかにすることにつながりうる。また、今後の投資協定や貿易協定の見直しや強化を通じて、ASEANの一層の自由化や経済制度整備を進展させること、また地域の政治経済安定へのコミットメントを通して、中国の対ASEAN投資を拡大していく政策についての示唆を得ることができる。  以上のような関心から、本稿は、直接投資の効率(理論的に想定される直接投資の潜在的可能性に対する現実の投資の割合)の検証を、2003~2020年度の中国のASEAN各国への直接投資データを用いて、確率的フロンティア投資重力モデルにより行う。それにより、非効率要因(潜在的可能性の実現の障害となっている要因)を明らかにすることを目的としている。このことにより、中国の対ASEAN投資を拡大していくための課題を明らかにし、課題解決のための研究の方向性を探っていきたい。  本稿の分析の結果の概要は以下の通りである。第一に、中国のASEAN諸国への直接投資の効率性は、平均としては低い水準にあること、また低下傾向にあることが明らかになった。第二に、分析対象とした国内の市場制度整備に関する要因のうち、ASEAN各国の経済自由度、投資協定の締結については、理論等からの予想と一致し、中国の対ASEAN直接投資効率にプラスの影響を及ぼす要因であることが明らかになった。第三に、その一方、ASEAN各国のインフラ充実度、国民の声と説明責任指数、中国の一帯一路構想の実施については、中国の対ASEAN直接投資効率にマイナスの効果を及ぼしている要因となっていることが示された。この点は、理論等から予想される結果とは逆となった。この結果は、共に発展途上国である中国とASEAN間の直接投資の特徴を示している可能性があり、中国の対先進国・地域投資、他の発展途上国・地域投資との比較等を通じて、今後、分析していくことが必要である。, This article examines data on China’s direct investment in ASEAN countries from 2003 to 2020 to verify the efficiency of direct investment (the proportion of actual investment to the theoretically assumed potential for direct investment) using a stochastic frontier investment g ravi ty model, wi th the aim of identifying the negative factors that become obstacles to achieving potential possibilities. The article will shed light on the issue of China's expanding investment in ASEAN and explore research directions to resolve the problems arising. The results analyzed in this article are summarized as follows. First, the efficiency of China's direct investment in ASEAN countries is low on average and trending downward. Second, among the factors related to the development of domestic market institutions as targets of analysis, the economic freedom of ASEAN countries and the signing of investment agreements are cons i stent wi th theoretical expectations as factors having a positive impact on the efficiency of China's direct investment in ASEAN. Third, and in contrast, the infrastructure adequacies of ASEAN countri e s , the level of voi ce and accountability of ASEAN countries, and the implementation of China's Belt and Road Initiative are viewed as factors negatively affecting the efficiency of China's direct investment in ASEAN and contrary to theoretical expectati ons . Th e s e re sul ts may r e f l e c t the characteristics of direct investment between developing China and ASEAN, and in the future, analyses should focus on comparing China's investment in developed countries and regions, and in other developing countries and regions., 彦根論叢, 第438号, pp. 84-108}, pages = {84--108}, title = {ASEANに対する中国の直接投資効率と影響要因の研究}, year = {2024}, yomi = {チョウ, ケイカ} }